校長挨拶

本校は、大正11年に中央気象台付属測候技術官養成所として発足して以来、昭和39年の4年制の大学校への改組を経て現在に至るまで百年以上の長きにわたり、気象庁の教育・研修機関として、業務の第一線で活躍する多くの卒業生を輩出してきました。その専門的な教育活動は高く評価され、令和5年度に人事院総裁賞を受賞しています。
気象庁は、気象・海洋や地震・火山などの自然現象を監視・予測し、的確な気象情報を提供することによって、自然災害の軽減、国民生活の向上、交通安全の確保、産業の発展などに貢献することを任務としています。この任務を果たすために、宇宙から地上、海上に至るまで、気象衛星、レーダー、アメダス、地震計、津波計、観測船などによって自然現象を常に監視し、スーパーコンピュータで高度な解析・予測を行っています。情報の改善のためには、自然現象に対する十分な知識とともに、先進的な観測・予測技術の研究・開発、システムの改善・高度化が必要です。さらに情報の発信にとどまらず、危険を伝える情報が人々の避難行動につながるように、常日頃から関係者と一体となった防災の取り組みを進め、人々の生活や社会経済活動において気象データが有効に活用されるようにしていく必要もあります。
本校では、これらの業務を進めるうえで基礎となる、気象学、海洋学、地震学、火山学などの地球物理学を中心とした専門課程を修めるとともに、人文・社会科学、語学等の教養を身につけます。さらに実践的な演習、野外観測・職場体験などを通して、気象業務についての知識や防災についての理解を深め、業務の現場で必要な技術を身につけます。学生定員は60名で、一学年15名前後という少人数の学生に対して、各教官が丁寧な指導を行っています。また、構内には寄宿舎を備え、緑豊かなキャンパスでの課外活動も充実しています。
自然現象の探求や自然と人間・社会との関わりに興味を持ち、知識と技術を身につけたい、そして将来は気象業務を通じて社会に貢献したい。そんな意欲に満ちた皆さんの入学を心よりお待ちしています。
気象大学校長 尾崎 友亮