特修課程 概要
特修課程は気象業務への理解を深め、防災・危機管理分野の知識を幅広く修得することを目的に、業務論、防災論、演習などの授業や地上気象観測・火山観測などの実習、気象庁・地方気象台などでの実践的な職場実習が行われています。
分野 | 科目名 | 学年 | 概要 |
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業務論 | 気象業務概論 | 1 | 本講座では、7名の教官によるオムニバス形式により、気象庁の業務全般に関する以下の概要的な知識を教授する。 ・日本は、台風・豪雨・地震・津波・火山噴火などの災害を繰り返し経験している。気象庁はその自然災害による死者を一人でも減らすため、観測網、データ収集や伝達の情報通信網を整備して、防災気象情報の適時・的確な提供を使命としていること。 ・気象庁は航空・海上を含む交通安全の確保や産業の発展など公共の福祉の増進に資する情報を多数発信していること。 ・気象庁は地球環境問題等の国際的な課題の解決のため、積極的に国際的協力を行っていること。 ・気象業務は、最新の科学的知見や科学技術の進展を取り入れることにより、発展・進化を続けていること。また、気象大学校でそれらの科学技術の基礎を学ぶこと。 |
気象業務論 | 4 | 気象庁の役割や取り巻く状況を概観し、主要な業務分野ごとにそれぞれの課題や展望、さらに将来の気象庁の中核となる職員としての心構えを学ぶ。 | |
防災論 | 気象防災概論 | 2 | 本講義では、自然災害の発生メカニズムや災害対策に関する基礎的知識から最新の動向に至るまで、幅広い知識を習得することを目的とする。 気象庁は、気象・海洋や地震・火山に関する的確な情報を迅速に提供することによって、自然災害の防止・軽減をはじめ、国民生活の向上、交通安全の確保、産業の発展などを実現することを使命としている。 この使命を果たすためには、気象・海洋・地震・火山学の知識だけでなく、 ・気象、海洋、地震、火山の現象と自然災害の関連性 ・自然災害で発生する被害とその対策 ・防災に資する防災気象情報とその活用 についての知識も不可欠である。 本講義でこれらの知識を習得することで、3年次以降の職場実習、赴任後の業務遂行を円滑に進めるための準備となる。 |
防災行政論 | 3 | 我が国及び気象庁における災害対策の法制度、防災体制、防災計画、各種災害対策に関する知識を習得する。 防災行政の基本的制度及び体制、気象庁の防災業務の基礎知識、風水害対策、地震津波災害対策及び火山災害対策について、気象庁各部から担当講師を招き、出発点となった災害等からの経緯をはじめ最新状況までを学ぶ。講義では、我が国の防災体制における気象庁の役割、国民や防災機関からの情報への期待、技術課題にも理解を広げる。さらには、演習を通じて、各地の地方気象台と地域防災との関係についても学ぶ。 これまでの特修課程で学んだ、気象等の観測、予報、地震津波火山や海洋の各現場の業務と合わせ、気象庁の業務各分野のほぼ全体をこれで学ぶこととなる。 |
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防災社会学 | 4 | 地震、津波、火山、水害などの災害について、社会科学的な立場から考える。特に多様な災害に関する情報とその認知や受容、避難を中心とした人間行動について、社会調査の結果を基に講義する。また、災害と情報に関する課題を抽出するための、具体的な社会調査の手法を学ぶ。それらを通して、災害軽減のための情報提供のあり方などについて理解を深め、防災について、多面的に捉えられるようになることを目標とする。 | |
演習 | 情報リテラシー | 1 | 「情報リテラシー」は、大学校在学中はもとより、卒業後も続けられるさまざまな「学び」に必要な情報活用能力を高めることを目的として、入学後の最初の学期に設けられている。その内容を大別すると、@大学校および気象庁のコンピューター・ネットワーク環境および情報機器の利用方法、A情報の入手と評価の方法(メディアリテラシー、図書・文献情報検索)、B情報の活用と作成の方法(各種の文書作成)、C情報の発信と共有の方法(口頭発表、WEB文書作成、討論)に分けられる。テーマごとに異なる担当教官による1〜3回の授業で構成される。 |
コミュニケーション演習 | 4 | 気象台で仕事を進めていく上で、職場での会議や引継ぎ、関係機関との連携などにおいて、良好なコミュニケーションや、文章・メールで物事を正確に伝える技術が要求される。卒論においても読者に分かりやすい文章を書く必要がある。ここでは、職場内や部外機関との良好な意思疎通、正確な情報伝達を実現する技術やその前提となる基礎知識、用件を誤解がないように伝える文章やメールの書き方を講義、演習を通じて学ぶ。 | |
防災気象業務演習 | 4 | 気象庁の業務は国民の生命・財産の保護を目的の一つとしており、当然のことながら在学中の学修成果も、これに寄与するための思考判断力を修得することでなければならない。これを踏まえ、卒業直前に行う防災気象業務演習では、これまでの学修成果と気象庁の業務との関連付けを確固たるものにするべく、以下の講義・演習を行う。 @ 防災機関の防災に対する考え方や役割、実情を把握する。その上で気象庁が連携して社会貢献するために、どのような防災気象情報を提供すれば良いかを考える。 A 顕著災害事例を対象に、以下の課題を通して、「根拠のある信頼性が高い防災気象情報を提供できるか」、「限られた時間内に迅速かつ的確な判断ができるか」を問う。 ・総合的な気象解析及び予測を行い、解析・予測結果について議論する。 ・発生する可能性のある災害やその社会的影響について推測し、「誰が」「どのような手段で」「いつごろまでに」「何を避けるために」「どのような情報を提供するべきか」を考え、防災気象情報を作成する。作成した防災気象情報について評価し改善点を議論する。 |
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実習 | 官署見学 | 全 | 気象庁業務に関する知識のより実践的な理解、防災に対する現場のあり方や業務管理の重要性等を体得させるとともに、将来気象庁で働くことの意識、大学部で学ぶことの意義を強く自覚させるため、気象庁等の関係施設の見学を行う。 |
地上気象観測実習 | 1 | 仙台・松島において地上気象観測を行い、気象現象と観測・予報業務に対する科学的な関心を喚起し、今後の学習に向けた意欲を高める。 また、管区気象台での見学を通して、将来携わることになる気象業務の実際に触れ、今後の大学校での学習に対し目的意識の醸成を図る。 |
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火山観測実習 | 2 | 火山観測とそれにより得られたデータの解析、また過去の噴火の痕跡や遺構などの見学を通じて火山への理解を深める。 | |
本庁職場実習 | 3 | 業務に関する知識のより実践的な理解、防災に対する現場のあり方や業務管理の重要性等を体得させるとともに、気象庁職員としての使命感を醸成し、大学部で学ぶことの意義を強く自覚させるため、本庁職場へのインターンシップを行う。 | |
地方気象台職場実習 | 4 | 業務に関する知識のより実践的な理解、防災に対する現場のあり方や業務管理の重要性等を体得させるとともに、気象庁職員としての使命感を醸成し、大学部で学ぶことの意義を強く自覚させるため、地方気象台の職場へのインターンシップを行う。 |